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アメリカやドイツではフロンを放出すると約300万円の罰金を取られます。
つい先頃アメリカ環境保護庁はニューヨーク市が廃冷蔵庫からフロンを回収しなかったことを理由に訴訟を起こし、50億円以上の罰金を科す予定でいる」というぐらい厳しいのです。 一方、日本ではフロンの規制に関する「オゾン層保護法」を1988年に制定していますが、ほとんどが生産規制に関しての法律で、廃棄時のフロン放出については1行もふれていません。
その後何回かフロン回収についての審議会が聞かれましたが、結局は通産省と自動車工業界が法的な規制に反対し、企業の自主的努力という玉虫色の解決で、現在に至っています。 このように日本では、フロンは事実上、野放しになっており、毎年4000トン以上の冷却用フロンが大気中に放出されています。
これは1998年、ストップ・フロン全国連絡会で全国の自治体にアンケートを取ったデータからもよくわかります。 各自治体が廃棄物のフロンの回収実態を正確に把握していないことがわかります。
また、民聞がフロン回収している量については、ほとんど自治体は把握していないと言ってよい状況です。 冷却剤として用いられた特定フロンは10%が冷蔵庫に、空調設備機器に25%、カーエアコンに65%使われました。
このうち、自治体が扱っているのはわずかな廃冷蔵庫だけで、ほとんどが販売店に流れています。 全体のフロン回収量は10%にもならないでしょう。

しかも、特定フロンの入った製品が廃棄物として出されるピークは1999から2000年ですので、対策が完全に遅れてしまったのです。 代替フ口ンも環境破壊物質特定フロンが生産全廃になって、その代わりになる物質を企業はいろいろ考えました。
スプレーはLPGに、洗浄は水などに切り替えましたが、発泡剤と冷却剤には代替フロンを使うことになりました。 これもフロンの一種で、オゾン層を破壊する能力が特定フロンよりも小さい冷蔵庫からフ口ン回収このうち、HCFCsはモントリオール議定書で、2020年には生産が実質的に全廃されることになっています。
また、HFCsについては、温暖化を抑制するための「京都議定書」で、二酸化炭素などとともに温室効果ガスとして指定し、排出を抑制することにしました。 特定フロンに代わって、代替フロンの使用量はどんどん伸びており、HCFCsだけで毎年9000トンも放出されています。
一方、7年前から生産の始まったHFCsに関しては、京都会議が終わった直後に、関連メーカーは70から80%回収するといっています。 回収技術は特定フロンとおなじですが、上述のようにそのシステムができていない現状では、これも野放しの放出ということになります。
冷蔵庫が家庭から姿を消せば、大パニックになるように、冷凍技術による恩恵は計り知れないものがあります。 ですから最大限代替フロンの使用は認めるとしても、環境に悪いということがわかっていれば、放出しないで、回収するべきです。
放出した結果がオゾン層破壊であり、温暖化であったという自然界の答えを真撃に受け止め、環境保全のための努力をしている、デンマークの例を見てみましょう。 デンマークでは回収にデポジット制度を1フ口ン税を導入したオゾン層保護政策ヨーロッパでは特定フロンの生産全廃を国際会議で決められた期日よりさらに1年早め、1994年末としました。
フロンの製造メーカーがなく、すべての種類のフロンを輸入しているデンマークでは、オゾン層保護対策のため、使用量の段階的削減を法律で規制しています。 たとえば、国際的には2020年まで生産が認められている代替フロンHCFCsについては、2001年にはすべての使用を禁止するという厳しい内容になっています。
さらに、使用の段階的な削減を確実にするために、経済的な措置として、特定フロンの輸入にあたって課徴金制度(フロン税)を導入しています。 課徴金はフロンとこれを含む製品の両方にかけており、導入当初は1キロあたり10クローネ(約200円)、次に25クローネ(約500円)、最終的には30クローネ(約600円)と段階的に課税率を上げました。
このフロン税の導入は2つの点で大きな効果を上げています。 1つは、特定フロンの消費量を大幅に減らし、これを使用しない製品への転換が促進されました。

もう1つの効果は、回収・再利用の促進です。 このようにフロン税をかける方法はアメリカでも導入しており、環境保全対策には市場メカニズムを利用することがもっとも効果があるということを示しています。
一方、日本では欧米とは反対に、冷却用の特定フロンを増産しながら、代替フロンへの転換策を推進したために、価格が暴落し、生産全廃後も在庫が山のように残っているという状態です。 このような状態で、自主的取り組みといっても回収が進むわけがありません。
2企業はデポジッ卜制で回収促進デンマークでもフロンの回収・再利用・破壊は企業の自主的取り組みですが、新しいフロンの価格が課徴金で高くなっているために、回収の方向に向かっています。 そして、このシステムをさらに組織的・効率的におこなっているのが、KMOという組織です。
冷却用のフロンを取り扱うすべての関連業者(輸入業者、販売業者、設備業者)を網羅した1000社からなる組織で、業界主導で、1992年に設立されました。 KMOではフロン回収を促進するためにデポジット制度とマニフェスト(管理表制度)を導入し、経済的なインセンティブ(動機づけ)を与えた上で、実績を管理・監督するというシステムを構築したのです。
まず、デポジットのしくみですが、卸売業者は冷凍空調設備業者(末端業者)にフロンの価格に15クローネ(約300円)/キロを上乗せして販売します。 末端業者は、KMOの事務的な手数料として支払われる3クローネ(約60円)を上乗せして、ユーザーにフロンの価格プラス18クローネ/キロを請求し、フロンを充填します。
ユーザーはフロンを充填してもらう時点で、回収の費用を払っているので、製品を廃棄したり修理するときには無料で回収してもらうことができます。 一方、末端業者は回収したフロンを15キロ詰めの紫色のボンベに詰めて、卸売業者に戻すと、回収費用が支払われます。
その金額はフロンの品質によって異なり、再利用できるばあいは10クローネ(約200円)ですが、不純物が混ざっていて、再利用できないばあいは5クローネ(約100円)となっています。 このようなシステムでフロンは全国4カ所の卸売業者に回収されますが、これを分析器にかけて純度を確認します。
95%以上であれば、再利用フロンとして販売します。 それ以外は、化学物質を処理するために全国の市町村が共同出資して設立した「コミューン・ケミ」に送って、フロンを破壊します。
この処理にかかる費用16.5~ 24.75クローネ(約330~ 500円)は卸売業者が負担します。 このようなフロンの回収の流れを量的に正確に把握し、管理するために使われているのがマニフェスト(管理表制度)です。

これは6枚綴りの伝票で、1回の回収ごとにフロンの種類、量を書き込み、フロンがたまると、その合計量を書き込んでから、ボンベに張り付けて、回収拠点に運び込みます。

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